2020年12月16日
米国各地で12月14日、米製薬大手ファイザーなどによる新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種が始まった。
感染を抑え込む「集団免疫」獲得には人口の75~85%がワクチン接種などで抗体を持つ必要があるとされるが、接種希望者は国民の半数にとどまるとの調査結果もある。
期待が広がる一方、ワクチン懐疑論の解消が今後の鍵を握る。
「癒やしの時が来た」
米国初の接種を受けたニューヨーク州の女性看護師は期待を口にした。
ロサンゼルスの心理カウンセラー、ダイアナ・ジェインズさん (46) は「最前線で働く人々や高齢者を思うと、とても興奮している」と喜んだ。
一方、サウスダコタ州のエンジニア、トラビス・シェーファーさん (28) は「ワクチンは政治問題化された。
感染拡大が来年に終わるとは思えない」と懸念する。
AP通信などの世論調査では、ワクチンを「受ける」との回答は47%。
「分からない」「受けない」が計53%で、集団免疫に必要な接種率に届かない計算だ。
全米看護師基金によると、医療従事者である看護師でもワクチンの安全性や効果を「信頼していない」との回答が37%に上った。
調査結果が示すように、米国民は歓迎一色ではない。
「実験動物にはされたくない」
ジョージア州アトランタの病院職員ステファニー・デレイさん (32) は「今回のワクチン開発は早すぎる。政府はパニックを抑えるためにワクチンを広めようとしている」と、接種を望まないとした。
サンディエゴ郡では、地元のユニオン=トリビューン紙とテレビ局が11月13日~15日に地域住民500人を対象に実施した世論調査で、約70%がワクチンを「必ず受ける」「多分受ける」と回答。
「集団免疫」獲得の条件となる水準には達しなかった。
人種別で見ると、白人は4人に3人、ラテン系とアジア系は3人に2人がワクチン接種に肯定的だった。
一方で、ワクチンを否定する理由として、効力が長期に及ぶとは思えない (46%)、ワクチンの安全性が疑わしい (12%)、製薬会社が信用できない (11%) などを挙げた。
(2021年1月1日号掲載)